第一回 第三話 「路上生活のおっちゃんからブツを受け取り走る男。編」

第一回 第三話
「路上生活のおっちゃんからブツを受け取り走る男。編」

まだ外は真っ暗な午前4時。

おっちゃんとの10時間近い旅は終わり、三ノ宮駅前に到着。

「こっからは電車で帰れよ!」

おっちゃんに念押しで強く言われ、別れ際、最後にもう一言。

「飯代は、出世ばらいな!」

こうして、おっちゃんとの旅が終了。
別れ際に早朝の三ノ宮駅前でクラクションを鳴らしてサヨナラしてくれた事は今でも鮮明に覚えています。

ドラマみたいにカッコイイおっちゃん。
ドラマみたいな別れのシーン。
いい人に出会えた。

余韻に浸りつつもすぐに駅に向かいおっちゃんの忠告通り電車で帰るべく、三ノ宮から岡山までの電車賃を調べました。

へ??岡山まで2500円!?

ここまで無賃移動で頑張ったのに?

しばらく駅周辺をウロウロしながらどうするべきか考えました。

こんな時間にヒッチハイクしたところで、まず無理。
そもそもタクシーとパトカーくらいしか走ってないし。怪しまれるのがオチ。
ここ三ノ宮だし、走ったら岡山までいけるかな?

アホゥの発想。

で、ひたすら線路沿いを走ることに。

しばらく走ると路上で寝てたおっちゃんらと遭遇。
ダンボールでこの2月の極寒のもと路上で寝ている。。
めっちゃ大変なのはわかるけど、助けてあげるほどのカリスマや銭を持ち合わせていないことから、何事もなくすれ違おうとしたら案の定、声をかけられしばらく会話。
いや、じっとこっち見てるから声かけられそうだな。。とは予感していたんだけど。

するとどこから出してきたのか、ボロボロのとあるブツ。
しかも黄色に緑色に赤色の、めっちゃカラフルなブツやん!!

ブツ = みなさんのご想像にお任せ

これを使って走れ!と。

え!いいの!?ラッキー!

何も考えずブツをもらい走り出しました。

しばらく走って思いました。

なんで路上に寝てる人がこんなカラフルなブツを?

焦りました。

大丈夫だよね?これ。。。

もし何かあって、おまわりさんに事情を聞かれたときに

「住所不定の方々からもらった。」

どんなに必死に訴えても通じないでしょう。

知らなかったじゃすまされない、この日本ポリスメン。

大丈夫だとは思うけど!うん。信じてはいる。けど。

気分の問題で、パトカーの近くを走るのは避けました。

そんなこんなで、ブツのおかげで快適に早朝の神戸駅の前を駆け抜け、朝日を見ながら海沿いを走る。
明石海峡なんかも見物しちゃったりして。
早朝散歩しているおばあちゃんに記念撮影をお願いしちゃったり。
寄り道をしながら、どれくらい走っただろう。

気がつけば明石駅前に到着。

空も明るくなり、市場がにぎわいだしている。
何か記念にお土産でも買おうかな。と、お店を歩き回りました。

タコがプルプル!

とれたての新鮮なタコを一杯、そしてお魚を数匹お土産として購入。

計画性の無いお土産のせいで、荷物がいっぱいいっぱいに。重い。
このまま走って帰ることが困難に。
それよりなにより、眠気と疲れで、限界を感じてきていたところ。
ここで諦めて電車で帰ることに。

いただいたブツを明石駅近くのブツ置き場において、名残惜しく別れました。
いつかまた出会えるといいね。とブツに声をかけちゃったりなんかして。

結局、明石から岡山までの電車賃は2110円。

随分長い時間走って進んだ気がしていたけれども、実はお金にすると400円程度の距離

なんだろう。この切ない気持ち。
悔しさと切なさと出会った人たちへの感謝を抱えながら、電車に乗り込みました。

結局、昼頃に実家に到着。
丸一日(家を出てから丸々24時間)をかけて岡山に到着。

東京から帰ってきたのに何故か両手にタコと魚を持っている息子。

母親は明らかに不信感。
全てを打ち明け、こっぴどく叱られる俺。

ヒッチハイク禁止令が母親から出たものの、バカ息子はその後、何度もヒッチハイクを繰り返すのでした。

第一回 全3話 おわり